火曜日, 7月 13, 2004

一人の人間と国をつなぐもの (O)

日本では参院選があったとの事ですが、私はイスラエルから在外投票という方法が可能にも拘らず、投票へ参加はしませんでした。イスラエルから毎日のようにインターネットを利用して、日本のニュースを読むことはできます。しかし、政治の細かな流れや日常的な事件、そして現在何が流行っているのかなど、実際に日本に住んでいるように実感することは非常に難しいと感じています。それはおそらく、大黒さんがイスラエルで起きていることを実感できないように。

しかし、こちらから高みの見物をしている限りでは、実際に今の日本の現状を本当に変えたいと思う人々がいるのでしょうか。大黒さんが仰るように、何か特別な理由がない限りは辺り触らず、自分の範囲の中で生きてゆくのが現代の風潮のようです。

昨日の私のポストでは、イスラエルの人々はそれぞれこの国についての意見があると言いましたが、それではここで少しその説明をします。

イスラエルでは、大きく分けると左派・右派に分かれます。左派は、前バラク首相や1995年に極右のイスラエル人に暗殺されたラビン首相のように、パレスチナ側に土地を譲歩することによりイスラエルの存在が保たれると唱えます。そして、右派は、土地を分けることでパレスチナが満足し和平を結ぶとは信じず、土地を分けることでイスラエルは生存危機に陥り、そのため一切この土地の譲歩をせずに、セキュリティーが確保されたイスラエル国家を存在させようとします。この土地に関する左派と右派の思いは、ベクトルの両端の矢印が反対に向かって進んでいるようなもので、左派と右派の間に同意する地点がまったくありません。

なぜこの左派と右派が協力し合うことなく、それぞれの道を突き進むのか。左派右派に関係なく、イスラエルとパレスチナの人々にも同じことが言えます。イスラエルとパレスチナに住むすべての人々が、この土地に対する様々な思いがあります。例えば、家族の歴史や宗教やその他の何か。そして、彼らはごくごく普通の日々を過ごせる時代が来ることを望んでるのにもかかわらず、そんな何かに囚われて、自己主張に突っ走り、本当に何を優先してゆくべきかをどこか履き違えているような気がします。  (大桑)